2005年01月09日

平成通り抜け って何?


今日(1月9日)大阪で「桜の会・平成通り抜け」事業なるものがスタートした。小泉首相が来賓として参加し、植樹式が毛馬桜之宮公園で行われた。淀川河川敷を中之島まで桜並木で整備するということらしい。大阪府知事、大阪市長、関経連会長などが記念植樹をしていることから、大阪の官財界が後押ししているのだろうが、この事業ってどれくらいの大阪市民が知っているのか?小泉首相は、市民一人一人の参加は民間主導を提唱している小泉改革の発想だと挨拶したらしいが、市民からの募金をもとに推進する事業の割には、一体誰がどの様に市民のコンセンサスを得たのだろう?

現在低迷している大阪の経済を活性化させるために、大阪の魅力を内外にアピールしようと考えることは悪くない。だが、数日前の新聞記事にもなっていたが、堂島川にリアルト橋(に似た橋)をという発想も今回の桜並木と同様の貧困さを感じる。大阪 → 水の都→ ベネチア → リアルト橋 という連想ゲーム程度のアイデアで、勉強会やら審議会やらに予算をつぎ込んでいるのかと思うと情けないやら悲しいやら。どこかにあるような名所を再現したとしても、その土地の歴史に根ざしたものでなければ、魅力は決して長続きしない。ディズニーランドのように資本を投下し続けることができたら話は別だけれども、大阪の自治体や財界にそのような力があるようにも思えない。野球球団ひとつも誘致できない文化レベルの大阪官財界は、むしろ話題を提供していればそろばん勘定が良くなると考えているだけなのじゃないだろうか?

桜の記念植樹に、21世紀を背負う意味で2000生まれの幼稚園児が約30人が参加したらしいが、市民が参加すると謳うなら300人くらいが植樹する大イベントにして欲しかった。その幼稚園児が成人する頃には、日本の人口構造も変化して大変な時代になる。はたして小泉首相は、幼稚園の子供らを見ながら、未来の日本への責任というものを十分自覚していたのだろうか?
同じ夕刊の広告欄には「親同士の代理見合いフォーラム 開催」というのがあった。いまやNEETの子供達を抱えて、親たち同士がお見合いをするというおぞましい時代になっているのだ。恋愛という人間の根源的な感情が希薄になっている人達が増えてきていることは、何か殺伐とした現在の日本の状況とリンクしているように思える。確かに、結婚していない人に問題があるというのではない。ただ、物質的に豊かになっていくことで、他人ばかりでなく自分に対しても感情の振れを感じられない人が増えているのではと思う。今後日本は、物質文明と教育や文化という人の精神面を両立させていくことが急務である。そのためには、若い人達に積極的に参画させるようなシステムが必要だ。お役所が旗を振っていれば、嬉しがって市民がついてくる時代ではないことを政治家・官僚・財界人は真剣に感じ取って欲しい。

(でも、荷宮和子が言うように、支配者は「愚民は愚民として差別し」たいのかもしれない。)


投稿者 kitazawa : 02:55 | コメント (0) | トラックバック

2005年01月05日

「災」から考える


阪神大震災の記憶も薄れてきていた昨年、まさに忘れた頃に台風、新潟県中越地震と立て続けに災害が日本を襲った。被災者数は阪神大震災よりも少なかったとはいえ、生活環境が激変する苦痛を多くの人々にもたらした。
そして、年末にインド洋沿岸に大規模な津波被害を引き起こしたスマトラ島沖地震。未だに被害の全容はわからないが、既に15万人が亡くなっている。たった数時間でこれほどの人命を失うような悲劇は、我々の想像力を越えるものだとも言えよう。しかしながら、多くの日本人が楽しいはずの旅先で被災していることを思うと、地球上のどこにも確実に安全な場所はないのだということも肝に銘じる必要がある。

阪神大震災の後、僕たち被災地やその周辺地域に住む者は、その悲惨な現実の中にあって自らの生き方を考えさせられた。だが震災の年も終わろうとする頃には、首都圏に住む友人にとって、震災はドラマの過去の1シーン程度になっていた。
建築の仕事はイマジネーション豊かな感性で支えられていると思われているが、自分の経験以上の想像力を持つことは非常に難しい。僕たちは、謙虚に自らの感受性を広げる努力をせねばならない。感動は驚きと共にあるかもしれないが、驚きは常に感動をもたらしはしない。驚きばかりを追求する建築は、津波の中に簡単に飲まれてしまうであろう。人の命を守り、生活に彩りを与え、健康な心身を保てることは芸術の条件ではない。それは、人間の最低限約束されている権利だ。その最低条件を満たした上で、人々に何か希望を与えられれば、人の心に残る時流に流されない建築となるように思うのである。

最後に、スマトラ島沖地震・津波で亡くなられた人々に哀悼の意を表します。そして、復興への第一歩が素早く踏み出せますよう心より願っています。


投稿者 kitazawa : 23:51 | コメント (0) | トラックバック